最近…というか、そういえば私は I’ve への思いを同人誌では綴ったことはあるものの、Web 上で本格的に書いたことはなかった。E.S.F もリニューアルしたことでもあるし、今回発表された I’ve 武道館ライブに絡めて、自分の I’ve への思いを書いてみようと思う。辛口調であるが、私の I’ve に対する熱い思いをこめてみた。少し長くなるが、興味のある方は最後まで是非目を通して欲しい。

 I’ve が武道館でライブを行うという。この連絡を受けたときは耳を疑った、でもそれは「遂に I’ve のライブが! しかも武道館で!」という嬉しい驚きではなく、「何故今になって I’ve のライブを?」という疑問だった。

 私が I’ve にハマったのはもう 5 年以上も前になる、2000 年の正月のこと。そう、あの伝説の 1st album 『regret』を購入してからである。あの頃の I’ve は、謎の音楽制作集団という雰囲気で、雑誌などのインタビューでも高瀬氏らが顔出しすることは滅多になく、またそれが一つのウリでもあった。

 元々ユーロビートシーンでの楽曲制作や、通信カラオケの打ち込み等が彼らのメインの仕事だったが、それだけでは食べていけないと言うことで、ひょんなことからいわゆる 18 禁ゲーム(以下、えろげーと表記)の世界に足を踏み入れることになる。
 今でこそ、えろげー楽曲は曲としての完成度も高いモノが多くなっているが、当時のえろげー曲は、お世辞にも出来がよいモノはほとんど無かった。そこへユーロビートシーンや、インディーズで培った実力を持った I’ve が与えた衝撃は計り知れないモノがあっただろう。
 そして当時の超話題作である key の『Kanon』の主題歌への参加。これが大きなポイントになった。これで I’ve という名は知らなくとも、「凄い曲を作る奴らがいる」という大きなアピールになった。
 そこからは、まさにインターネット時代を象徴するかのように、口コミで I’ve の知名度はあっという間に広まり、人気もどんどん高まっていった。ここから先は、皆さんもご存じの通りで敢えて語ることもないだろう。

 さて、ライブの話になるが、当時、I’ve のヴォーカルは今のように固定されておらず、一度きりの参加というパターンが多かった。当時名をはせた固定ヴォーカルといえば、今は参加しなくなってしまったAKI ぐらいであり(もちろん、当時から今でも参加しているヴォーカルもいるが)、去年メジャーデビューを果たした KOTOKO は 2nd album 『verge』での作詞参加のみで、ヴォーカルとしての参加はまだ先のことだ。

 当時はまだユーロビートブームが続いている時期でもあり、高瀬氏らも I’ve の活動と平行してユーロービートシーンでの活動を行っていた。このこともあり、「I’ve でのライブを」という声はまだ殆ど聞かれなかったと思う。もっとも、この頃はまだ I’ve での単独ライブが出来るまでの力は蓄えられていなかったということもあるだろう。

 そして I’ve 人気も落ち着いた頃、I’ve のメインヴォーカリストとして成長した KOTOKO がメジャーソロデビューを果たすことになる。このとき、私はこれで I’ve の単独ライブはもうないだろうと思った。私には、高瀬氏らは表に露出するのを嫌う、いわば職人気質のタイプというイメージがあり、KOTOKO のメジャデビューは、自らは裏方に徹するためのスケープゴートだと思ったからだ。
 しかし、その割には KOTOKO 1st LIVE tour 東京公演のラストには、高瀬氏はギタリストとしてゲスト参加している。以前はバンド活動も行っていたと聞くし、本当は出たがりなんだろう。もっとも、そういう性格でなければ、クリエイターなどと言う職業は勤まらないから当然といえば当然だが。
 今回の武道館ライブ開催に至っても、KOTOKO のステージを見て、体に流れるクリエイターとしての熱い血が騒いだのだろう。記者会見の席でも、 KOTOKO 達のステージの成功が、武道館ライブへの流れにあると発言している。

 今回のライブタイトルは「I’ve in BUDOKAN ~Open the Birth Gate~」だ。プレス資料に依れば、


これまで表に出ることのなかった“I’ve”が
初めてその姿を現すことになりました。
その舞台となるのが栄えある地、日本武道館です。
Open the Birth Gate
この言葉が示すように、“I’ve”の扉は武道館ここから開かれます。
それは皆様と共に歩み始めるという、新しい歴史の誕生なのです。

(原文ママ)

 この文から考えてみると、I’ve としては今までは敢えて表に出てこなかったと取れる。でも、今までだって、やろうと思えばハコは武道館でなくたって、ライブは出来る位の人気は十分にあった。しかし、一切行わずにここまで来たのだ。そこで、ここで出てくるのが、冒頭の「何故今になって I’ve のライブを?」という疑問だ。
 正直、最近 I’ve の人気は落ち目までとは言わないが、以前ほどの勢いはない。それは主な活躍の舞台をえろげーからテレビアニメへのシフト、KOTOKO たちのプロデュース業の専念、曲の構成自体の変化など様々な要因があると思う。だから、今回の武道館ライブは「機は熟したライブ」ではなく、タイミング的にも、ハコも話題性に十分な武道館であるし、「まだまだ I’ve ここにあり!」と、I’ve 自身の存在をアピールするためのライブではないかと思うのだ。

 次に、肝心のライブ内容に話を移そう。私として絶対にやめて欲しいのは、今の I’ve でメインに歌っているヴォーカルの寄せ集めライブになることだ。確かにヴォーカル一同が一度に会する場面は滅多にないわけで、それはそれで価値のあるものだとは思うが、”I’ve sound” とはなんなのかもう一度考えてみよう。
 先にも触れたが、初期の I’ve のヴォーカルは固定されていなかった。それでも私が I’ve に魅せられたのは、高瀬氏の突出した作詞・作曲・編曲のセンスにあったからだ。乱暴に言うと、ヴォーカルはある程度歌唱力があって、曲にマッチしていれば誰でもよかったのだ。
 断っておくが、今のヴォーカリストたちの存在を否定するつもりではない。彼女らは十分に魅力があり、KOTOKO や川田まみのようにメジャーデビューを果たした実力者も名を連ねている。高瀬氏だって本当は初期からヴォーカルは固定化したかっただろうし、実力のある歌姫に囲まれた現状には満足していることだろう。

 最後にライブの雰囲気を想像してみよう、現状のファン層から考えると、残念だがいわゆるアイドル・声優ライブと同じ、コール有り、パンパパンヒュー(いわゆる “PPPH”)の、サイリウムグルグル的なノリになってしまうことは想像に難くない。こういうノリは場さえあっていれば、会場は盛り上がるのだが、今回の I’ve のライブにはそぐわないと私は考えるのだ。
 間違って欲しく無いのは、こういう応援方法を真っ向から否定するわけではない。こういう応援方法は一つの文化であるし、私もかつて某アイドルのコンサートでは息が切れるまで飛び跳ね、声が枯れるまでコールをしたクチだ。確かに I’ve 武道館ライブの出演者はみな女性ヴォーカルだ。だからといって、この応援方法を踏襲しなければいけないことは無いはずだ。

 以前、 Exass 氏と「I’ve はやるならレイヴだよなぁ」と話したことがある。まあ、確かにレイヴのノリは行き過ぎとしても、仕切り屋が居て、皆で合わせてジャンプしてコールして…などというライブにはなって欲しくないのだ。勿論、楽しみ方は人それぞれだ。どう応援をしようが文句を言われる筋合いはないと言われれば反論の余地はない。
 でも、自分が好きな、心地よい音楽って、自然と体が揺れて、自然と手拍子をして、プレイヤーのパフォーマンスには自然と歓声が出て…、いつしか会場は一つになる。こういうものではないか? 特に I’ve にはダンスポップの血が流れる曲が多いことだし、余計にそういう気持ちは強くなるのだ。

 記者会見で高瀬氏は「7 人の歌姫が居るので、その曲を使って I’ve のこれまでの歴史を語っていければいいなと思っています」と語っていた。在り来たりな内容で、これっきりの打ち上げ花火にならないよう、ファンをいい意味で裏切ってくれる、I’ve の集大成となる素晴らしいライブになることを願ってその日を待ちたいと思う。

 ※同じ文章が E.S.F5.30 I’ve 武道館ライブ報道発表会 特集にも掲載されています。