UI

 PC や携帯電話の基本画面操作。画面占有率が少なく、視覚的にわかると言うことでアイコンが多用されたり、画面送りなどあまりに基本的な部分の説明は省略されている。しかし、これらはこういった機器に馴染みのない人にとっては、やはりわかりにくいもののようだ。

 例えばうちのオフクロの場合、画面(ページ)送りのアイコン、例えば「まだこの先に続きがありますよ」を意味する「←」「→」のようなアイコンが表示されていても、その意味を何度説明しても覚えてくれない。教えたときは「はいはいわかったわかった」というもの、すぐにその意味を忘れてしまう。
 これが例えばメールなどで、文書が画面内に収まらず途中で途切れている場合などは、まだその先に続きがあると理解して画面送りをすることが出来る。しかし、メニュー一覧の場合などはそれがすべてのメニューと思いこんでしまい、画面内に自分の欲するメニューが表示されていないので、どうすることも出来なくなってしまうのである。シニア向けに作られている携帯電話端末でさえこういう作りだ。

 これはもう固定観念で、若い頃から PC 等の視覚的表示に慣れてない人間にとっては越えられないハードルなのだろうか。
 今回この記事を書くきっかけになったのが、オフクロに DS の『脳トレ』を渡してあり、気に入ったようで年中使っていたのだが、「トレーニング内容が少なくすぎて飽きた」と言う。それもそのはず、トレーニングを選択する初期画面には 3 つのトレーニングしか表示されず、他のトレーニングを選択するには上下に画面を送って他のトレーニングを表示させなければならないのだが、この「上下にまだ他のトレーニングがありますよ」を意味する「↑」と「↓」のアイコンの意味が理解できず、初期画面の 3 つのトレーニングだけを延々と繰り返していたのである。
 「上下に矢印が出ていて、まだたくさんトレーニングあるじゃない」と教えると(以前にもキチンを教えていたのだが)、「えー、こんなにたくさんあったの!」だって。

 それでも半年以上 3 つのトレーニングを延々と繰り返していたのだから……。我々のようにある程度最近の PC やゲームに知識があれば、いくら何でも 3 つは少なすぎるからおかしいとと思うだろう。しかし、うちのオフクロのように携帯ゲームはゲーム&ウォッチ程度の情報で止まって人間にとっては、たとえ 3 つしかトレーニングが無くても十分高機能なのであまり疑問に思わなかったようである。

 最近は若い頃に PC に馴染みがなかった世代向けの携帯電話端末や、DS のヒットの要因とされる大人でも遊べるゲームが数多く出ているが、うちのオフクロのように我々は当然と思う部分でも、基本的な操作の時点で理解できない部分が数多くあるようだ。 メーカ側もなるべくわかりやすいように色々考えているのだろうが、この現状をみるとまだまだと思う。もちろん使う側のスキルにも依ってくるので一概にとはいえないし、画面内がくどくど説明文で埋まってしまうのも、逆にわかりづらくなってしまうだろう。

 実際にその人の身にならないと見えてこない部分がある。最近のバリアフリー化などはその一例だろう。改善できる、しなければならない部分はまだまだたくさんあるのだ。 『携帯電話やゲームの基本操作トレーニング』なんてソフトを出したら案外売れるかも知れないな。

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All or nothing.
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